絹工房　富岡シルク石鹸

シルクの原料である蚕の繭糸は繊維状の「フィブロンイン」と、そのフィブロインの周りを取り囲む糊のような成分「セリシン」の２種類のタンパク質から構成されています。皆さんはシルクと聞くと独特の光沢があり、スベスベ・サラサラした感触の生地を想像されると思いますが、生糸（セリシンが付着している状態）はシルク独特の光沢もなく、手触りもゴワゴワしています。それを精錬という処理によって生糸の周りを取り囲む余分なセリシンを取り除き、フィブロインのみにすることによって、シルク本来の光沢や手触りが出るのです。この精錬の際に排出される余分なセリシンを活用し、化粧品などの原料とすることが多く、シルク配合と称される化粧品の多くが、セリシン配合のものでありました。しかし、前述の通り、皆さんがご存じのシルクとは繊維部である「フィブロイン」のことであり、本当の意味での「シルク配合」とはフィブロインを配合したものであると考えられます。

絹と言えば国産というイメージを思い浮かべられる方も多いと思いますが、実は国内で流通している生糸の9割以上が中国やブラジルからの輸入品であり、国内産の絹はほんの数％に過ぎません。さらに、輸入された絹（繭）を使い日本国内において紡績された製品も国産と表示することが可能であるため、一貫して国内で生産された純粋な国産シルクは極めて希少な存在です。そこで絹工房では現在国内で稼働している二社しかない製糸工場のうち一社である群馬県碓氷製糸農業協同組合の協力のもと、純国産の生糸を原料としております。絹は蚕が桑の葉を食べて成長し繭を作りその繭から紡がれるものです。輸入製糸の大半は中国製であり、近年の中国の生産環境を考えると、土壌の汚染による環境ホルモンの濃縮等の心配もあります。また、食品や化粧品等の原料に使われる絹糸にはブーレット（屑糸）が使われることが多く、ブーレットは不純物を含んでおり、それらの不純物を取り除く為に薬品による処理により、品質に問題を生じる可能性もある為、日本国内で一貫生産された純国産の生糸にこだわりを持っています。

シルクが何故肌に良いかという点については、シルクの持つ細胞生育機能そのものであり、この細胞生育機能とは絹の持つ保湿性・通気性・抗菌性・バリア機能に優れているという特性によるものです。つまり、シルクの肌着を着るように、肌を包み込むことにより効果を発揮するのです。「低分子」、「ナノ化」、「ピコ化」という言葉がもてはやされておりますが、従来のシルク成分もまた酸や酵素等によって低分子化された加水分解シルク（シルクペプチド）でした。しかし、加水分解によってバラバラにされたシルク成分は本来持っている定着性が著しく低下し、バリア機能も損なわれるため、細胞生育機能も低下してしまいます。一方、絹工房ではより効果を高める為、シルク成分は全て高分子の状態で配合しております。

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